朋友クリニック

頭痛

一次性頭痛

皆さん、頭痛に悩まされたことはありませんか? 実に日本人の4人に1人(約3千万人)が頭痛持ちといわれています。

頭痛は基礎疾患の有無で、『一次性頭痛』と『二次性頭痛』の大きく二つに分けられます。『二次性頭痛』は、生命を脅かしかねないクモ膜下出血などの脳卒中や脳腫瘍、髄膜炎などが原因で起こる頭痛で、意識障害や半身まひ、言語障害などの症状を伴うことが多く、専門的な医療機関での治療が必要になります。もう一つの『一次性頭痛』は、基礎疾患がなく慢性的な経過をたどることの多い頭痛で、外来で相談を受ける大部分を占めます。こちらでは『一次性頭痛』の分類・特徴を述べたいと思います。

片頭痛

頭痛といえば『片頭痛』というくらい、頭痛の代名詞にもなり一般にも広く浸透している頭痛で、月に数回ズキンズキンと脈打つ痛みがまるで『カタブイ(夕立)』のように起こります。中には光や音、においに過敏になったり、ギザギザした光が見えたり、肩こりや吐き気などの前兆を伴う方もいらっしゃいます。階段の昇り降りや体を動かすととてもつらく、部屋を暗くして寝込みたくても学校や仕事を休む訳にもいかず、市販の頭痛薬でお茶を濁している方が多いのが現状です。楽しみにしていた週末や旅行の出発寸前に痛くなり、予定がキャンセル、なんていうことを経験されてはないでしょうか。

治療としては、予防薬と頓挫薬(発作時に飲むお薬)の二本柱で治療するのが一般的になりつつあります。片頭痛が長期化すると脳が過敏状態になり、めまいや耳鳴りなどの症状も伴ってくるといわれていますので、脳の過敏性を鎮めるお薬や血管を拡げるお薬を内服することで頭痛発作が起こりにくくなるように予防し、発作の頻度や強さを軽減するのが目的です。日頃から予防薬を内服しながら、頭痛発作に対してはピークに達する前に特効薬のトリプタン製剤という頓挫薬で対応することで、速やかに発作を鎮静化します。当院では、頭痛ダイアリーを用いてご自身の片頭痛のパターンを把握して頂くことにより、日々の生活に支障を来たさないような生活習慣のアドバイスや服薬指導を行っております。

緊張型頭痛

『孫悟空の頭の輪っか』のようにハチマキで締め付けられるような痛みとか、重く鈍い痛みと表現されます。パソコン業務や前かがみの時間が長い仕事のように、長時間同じ姿勢を続けることで首や肩のコリが慢性化し、寝込むほどではありませんが、梅雨空のように常に頭がスッキリしない頭痛です。ストレスや過労も原因となりますので、1日のうちでは午後から夕方に、1週間でみると週末に症状が強く出るのが特徴です。

後頭部から首・肩にかけての筋肉が慢性的に緊張していることで頭痛が起こりますので、姿勢を正したり、筋緊張をほぐすことで症状が和らいできます。パソコンに向かう時間が長い方は1-2時間に1回5分程度、肩甲骨周囲をほぐすようなストレッチを行いましょう。筋緊張が強い方(石のように硬い方もいらっしゃいます)はなかなかご自身でほぐすことは難しいと思いますので、筋緊張を緩和し血行を改善させる作用のあるお薬を内服したり、リハビリのホットパックで温めたり、電気治療を利用することでリラクゼーションすると効果的です。

群発頭痛

年に数回から数年に1回くらい、激しい頭痛が連日のように1-2ヶ月続きます。発作自体は2-3時間と短いのですが、一次性頭痛の中では最も激しい頭痛で、転げまわったり、のた打ちまわる程の痛みがあり、『目の奥からかきむしり取られるような』という表現をする方もおられます。男性に多く、いつも決まった側の目の奥が強烈に痛むのが特徴で、同じ側の目から涙を流したり、目が充血したり、鼻水・鼻づまりなどの症状が現れます。夜間の発作が多く、アルコールを摂取すると発作を誘発するという特徴もあります。

このように激しい頭痛ですので、一般の鎮痛剤はほとんど効果がなく、100%の酸素吸入と片頭痛の特効薬であるトリプタン製剤が唯一効果を発揮します。

後頭神経痛

後頭部から側頭部・頭頂部にかけて、皮膚の表面がピリッとした次の瞬間には痛みが止まる特徴があり、痛みの持続時間は数秒間で、だらだらと持続的に痛みが続くことはありません。痛みと痛みの間には、間欠期といって痛みのない時期が必ずみられます。髪の毛を触るだけでビリビリ痛みを感じることもあります。

神経痛の仲間なので抗てんかん薬が有効ですが、眠気が出やすいのが難点です。肩こりや疲労・ストレスの蓄積が原因のこともありますので、後頭部から首・肩にかけての筋肉をほぐしたり、疲労・ストレスの解消を試みましょう。

薬剤誘発性頭痛(薬物乱用頭痛)

以上の頭痛に対し、頭痛薬を頻繁に飲んで痛みを抑えることを繰り返していると、痛みに対し敏感になって頭痛薬が手放せなくなり、毎日のように頭痛が誘発されるようになります。頭痛信号をキャッチしたら、ひどくなる前に早め早めに頭痛薬を飲む習慣が身に付き、頭痛薬に心理的に依存するようになるため、慢性的な頭痛に陥るようになります。この状態を『薬剤誘発性頭痛(薬物乱用頭痛)』といい、月に10回以上、3ヶ月続けて頭痛薬を飲んでいらっしゃる方は、一度相談されることをお勧め致します。

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